■目次
クラウドファンディングでの出資金・寄附金は経費になるのか?
出資者側の経費扱いに関すること【解説付き】

はじめに
こんにちは。影谷(かげたに)です。
私が運営していた会社は公演プロデュース業でした。
私側からしてみればクラウドファンディングされる立場の方なので、本日の記事は逆の立場の視点からご紹介します。
私の会社も、その当時数多くの寄附行為やファンドでご支援いただきました。当時の経営者様には大変お世話になった次第です。※私の仕事であった業務形態が異色なので説明しだすと少し時間がかかりますから、ここでは割愛します。
個人や法人がクラウドファンディングで寄附や出資をしたとき、その金額の一部は所得控除や損金として扱うことができます。
本日はクラウドファンディングで寄附や出資をする方のために、クラウドファンディングで支出した資金の扱いについてお伝えしたいと思います。
✔本記事の内容
✔ クラウドファンディングの種類
✔ クラウドファンディングは経費になるのか?
✔ 会計処理の仕方
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経理実務、税に関することを追求することが好きです。
クラウドファンディングの種類と特徴
最近では資金調達方法の一つとして、クラウドファンディングがとても注目を浴びていますね。
これまでの寄附行為というと、お金が余った資産家がパトロンのように自分の興味分野に資金援助するという背景が根強くありました。
その投資先が化けてくれれいいですが、そのままお蔵入りなんてことも大いに考えられます。
なので出資側はあくまで「余剰資金」から善意で行うというのが当たり前で、普通の人が手を出すということは殆どありませんでした。
しかし、近年クラウドファンディングの方法が見直され、資金を募る側(資金調達者)だけではなく、クラウドファンディングの種類によっては、資金を提供する支援者側(出資者)にもメリットがあるようなパターンも数多くあり、とても人気が出ています。
まずはクラウドファンディングとはどのようなものなのか、大きく「投資型」と「非投資型」に分類をして解説します。
【投資型】融資型・ファンド型・株式型
投資型には「融資型・ファンド型・株式型」の3つがあり、特徴は以下のとおりです。
- 融資型 : 希望融資先が同じ他の資産家と共に資金を出し合い、大口化して資金調達者に融資する仕組み。日本ではソーシャルレンディングという名称としても知られていて、リターンとして金利を得る。
- 株式型 : 非上場株式を購入できる。
- ファンド型 : ファンド持分を購入し、配当を得る。
この3つの投資型における共通点は、「金銭的なリターンを求めて出資をする」という点です。出資者がプロジェクトオーナー(資金調達者)にお金を貸し、後にそれに相応する利息や配当金を得るというのが主な仕組みです。
投資型クラウドファンディングの期待利回りは5%〜10%以上と非常に高く、預金金利の低い今、安定した投資先として人気です。
ただし、可能性は極めて低いですが、貸していた投資先の事業失敗や倒産などが起こったときの元金保証はありません。
【非投資型】購入型・寄附型
非投資型は「購入型・寄附型」の2つがあります。
購入型:資金提供先は商品やサービスを開発するプロジェクトに多く見られる。資金を提供後、完成したモノやサービスが提供される。
寄附型:資金提供先は被災地、発展途上国、慈善事業、小規模事業など。資金調達先によっては寄附されたお金がどのように使われているのか活動報告書を閲覧することができる。
非投資型は名前のとおり投資ではありませんので金銭的なリターンは原則ありません。
その代わりに、プロジェクトによって完成したモノやサービス、権利などが提供されることがあります。

クラウドファンディングの出資金・寄附金は経費になる?【会計処理の方法を解説】
では出資金、寄付金は経費になるのでしょうか?
正解は・・・経費になりますが、ならない場合もあります。
クラウドファンディングでの出資金・寄附金は、種類や寄付先によって会計処理が異なりますので、以下で紹介いたします。
寄附型の会計処理
まず、寄附型の会計処理のケースは以下の4つに分かれます。
1.「個人」→「個人」 【×経費にならない】
個人から個人へ寄附した金額は、贈与とみなされるため必要経費には含まれません。仕訳の際は、個人口座から拠出した場合は「仕訳なし」、事業用口座から拠出した場合は、「事業主貸」で処理します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事業主貸 | XX円 | 預金口座 | XX円 |
2.「個人」→「法人」 【○経費(控除対象)になる しかし確認が必要】
個人から法人へ寄附を行った場合、その寄附が寄附金控除の対象となるのか、しっかりと確認をする必要があります。
公益法人などへの寄附行為は控除対象となると思いますが、寄附型と記載があっても、所得税法上、寄附金控除の対象にならないものもありますので、注意が必要です。
寄付金控除の対象となる場合は、確定申告で適用を受けることができます。
3.「法人」→「個人」 【○経費になる】
法人が個人へ寄附をした場合は、「寄附金」として経費計上することができます。ただし、税務上の損金として認められる金額には制限がありますので注意が必要です。
4.「法人」→「法人」【○経費になる】
3. の「法人」→「個人」の場合と同様です。国や地方公共団体への寄附金と指定寄附金はその全額が損金として認められます。
購入型の会計処理
購入型クラウドファンディングを個人で行う場合は、通常の商品を買うように会計処理も申告も必要ありません。
一方で、法人や個人事業主などの事業者が出資者となる場合には、提供した金額分を経費(損金)に算入することが可能です。
経費に算入できるのは、事業に直接関係のある購入型クラウドファンディングに投資した場合に限ります。
たとえば、「法人が出資した金額が200万円」の場合の会計処理は以下のような仕分けになります。(入金手数料など諸経費は省きます。)
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 前渡金(前払金) | 2,000,000円 | 預金口座 | 2,000,000円 |
商品提供日 | 仕入(消耗品費) | 2,000,000円 | 前渡金 | 2,000,000円 |
まず、入金日には「前渡金(前払金)200万円」として仕訳します。
そして、商品が完成して出資者側が200万円相当分の物品を受け取った日に、前渡金を仕入や備品、消耗品費などに振り替えます。通常の商品の売買と同じなので消費税は課税仕入となります。
ただし、購入型クラウドファンディングのリターンの価値が極端に低い場合は寄附型とみなされることがあるので気をつけましょう。
投資型の会計処理
投資型クラウドファンディングの会計処理は投資の種類によって異なります。
「融資型」は、貸付金の会計処理と同様となり、「ファンド型・株式型」は、通常の新株式購入の会計処理と同様になります。
資金を投入した時点で融資型では「貸付金」、株式型とファンド型では「投資科目(投資有価証券等)」として処理します。
たとえば、「法人が出資した金額が200万円」の場合の会計処理は以下のようになります。(入金手数料など諸経費は省きます。)
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 貸付金 | 2,000,000円 | 預金口座 | 2,000,000円 |
分配金提供日 | 預金口座 | 2,200,000円 | 貸付金 | 2,000,000円 |
受取利息 | 200,000円 |
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 投資有価証券(投資科目) | 2,000,000円 | 預金口座 | 2,000,000円 |
分配金提供日 | 預金口座 | 200,000円 | 受取配当金 | 200,000円 |
また、分配金から源泉徴収がなされている場合は、その分は仮払金として処理します。

まとめ
クラウドファンディングは、出資者も資金調達者もその特性をうまく活用すればお互いにとってウィンーウィンの非常に大きいメリットを得ることができると思います。
そのメリットをうまく活用するには税金対策や会計処理を理解しておくことが重要です。
税金処理は日々更新されることもありますので、クラウドファンディングで投資や寄附をした際には税理士さんに相談することが大切です。
餅は餅屋の気持ちで、その道のプロに確認すれば、クラウドファンディングのメリットも最大限に活用されることと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
※↓おすすめの顧問税理士はこの記事を御覧ください。