副業サラリーマンの年末調整
はじめに
こんにちは。影谷です。
あっという間に年末調整の時期になりました。
働き方改革で副業をみとめる企業が増えたり、コロナ禍でダブルワークをはじめたりする人も増えています。一社のみからの収入であれば年末調整をするだけで所得税の納付が完了しますが、副業やダブルワークを行っていれば、そういうわけにはいきません。恐らくですが、ほとんど方がが副業やダブルワークだと確定申告が必要となります。
今日は副業をしているサラリーマンの年末調整から、副業やダブルワークの所得税の確定申告について詳しく解説したいと思います。
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年末調整とは
もうご存じのことかもしれませんが、年末調整とは会社が従業員に支払った年間の給与や賞与の所得税を計算して、各種控除を反映した所得税との差額の調整を行うことです。
会社は給与や賞与などを支払うときに、その都度、従業員が負担する所得税を徴収して国に納付する義務を負っています。
本来、所得税は社会保険料を控除したり、支払金額によって税率の計算をしたりする必要があるため、個人が行うととても複雑な作業になります。
支払額から所得税の対象額を計算できれば、国税庁の「源泉徴収税額表(月額表)」で税額を確認することもできます。
しかし、その年のうちに扶養する家族が増えたり、学生だった子供が就職して扶養からはずれたりすることがあれば、毎月源泉徴収していた税額が違ってきます。年末調整は、こういった扶養控除の変更や所得控除できる保険料などの支払を調整します。
注意しなければならないのは、本業の会社はダブルワークや副業の収入を把握していませんので年末調整の対象とならない点です。
副業分はきちんと自分で確定申告が必要になります。
ダブルワークの年末調整は?
ダブルワークの年末調整はそれぞれの会社で行います。仮にA社とB社で働いていれば、メインの就業先であるA社で扶養家族などの控除計算をして、サブのB社では収入だけの源泉徴収票を発行してもらいます。
場合によっては、A社、B社それぞれで源泉徴収される可能性もあります。このあたりの細かなことは、その年の最初の給与が支払われる前までに会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」により決まってきます。
源泉徴収の区分には「甲」「乙」「丙」があります。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している1ヵ所からのみ給与が支払われる人は「甲」です。「乙」は2カ所以上から給与をもらっている人で、「丙」は日雇いなどの人です。
一般的な従業員は「甲」に該当し、ダブルワークをしていても主たる勤務先は「甲」として源泉徴収します。
働き方改革以前と比べ、ダブルワークが世間的に浸透している現在ですが、実際にはダブルワークをしていることを主たる勤務先に先に伝えている方は少ないでしょう。サブの会社に「乙」であると告げて、源泉所得税の計算を依頼している人も多いのではないでしょうか。
ダブルワークをしている場合は、基本的に手元にA社とB社それぞれが発行した源泉徴収票が届き、その2通の源泉徴収票に記載されている金額の合計がその年の収入や源泉徴収税額となります。
転職を経験された方のなかには、前職の源泉徴収票を転職先に提出して一括で年末調整された記憶のある方もいると思いますが、ダブルワーク先の源泉徴収票を自社で一括して年末調整することは原則ありませんので覚えておきましょう。

確定申告とは
確定申告とは、その年1月1日から12月31日までの所得を計算して申告し、税金を納めるための一連の手続きのことです。現在は所得税と復興特別所得税を合算して申告および納付するルールとなっており、一般的に2つをあわせて所得税と呼んでいます。
通常、勤務先以外からの収入のないサラリーマンであれば、勤め先の会社が行う年末調整で所得税の納付が完了するため確定申告をすることはありません。副業やダブルワークをしている場合は自身で確定申告する必要があります。
副業は売上から必要経費を除いた所得が一定額以上であれば申告が必要です。ダブルワークであれば勤務先が発行する源泉徴収票の所得合計額により確定申告することになります。
自身で確定申告をする必要がある方は、申告の時期や流れなどを確認しておきましょう。コロナ禍により令和3年は期限が延長されましたが基本的には以下のスケジュールです。
- 申告時期:2月16日から3月15日
- 申告方法:持参、郵送、e-Tax
- 納付時期:申告時期と同じ。口座振替の場合は4月
- 申告のながれ
- Step1 源泉徴収票などの書類を準備する。
- Step2 申告書などを作成する。
- Step3 申告書を税務署に提出する。
- Step4 納付、もしくは還付を受ける。
副業の確定申告の所得区分はどうなる?
しかし、ここで注意すべき点は、すべての副業が確定申告の対象というわけではないということ。
年末調整を受けた給与所得以外の副業による所得が20万円以下の場合は確定申告が不要です。
所得が20万円を超える副業として確定申告が必要なものには、次の(1)~(5)のようなものがあります。
- 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
- 自家用車などの貸付けによる所得
- ホームページの作成やベビーシッターなどの役務の提供による所得
- 暗号通貨の売却等による所得
- 競馬などの公営競技の払戻金による所得
(4)や(5)は副業として認識していないこともあるかもしれませんが、確定申告の対象となりますので注意しましょう。
また、通常の副業は基本「雑所得」として申告しますが、事業的規模になると「事業所得」として申告することもできます。事業所得として認められるかは、実際の業務業況など実状から判断することになります。
確定申告と住民税
副業には所得税だけでなく住民税も課税されます。特別徴収を選択すれば会社の給与引きとなります。特別徴収は会社が毎月の給与から住民税を徴収して市町村に納付する制度のことです。
確定申告書は住民票のある市町村に連携されますので、住民税の納付について「自分で納付」として申告すれば市町村から納付書が届きます。この場合は毎月の給与から引かれる住民税とは別に、納付書の金額を自身で支払わなければなりませんので注意しましょう。
また副業を始めたばかりの人が本業に黙っている場合、突然住民税が高騰して副業がばれることがありますので、注意しましょう。

まとめ
いかがでしがでしょうか?働き方改革の影響などで副業やダブルワークをするサラリーマンが増えている時代に突入しましたが、まだまだ納税などの事務作業の簡素化はこれからです。
年末調整は会社から支払われる給与や賞与が対象であり、会社以外からの所得が20万を超える場合は、自身で確定申告しなければならないことを覚えておきましょう。
また副業やダブルワークをされている方に多い傾向としては「顧問税理士」と契約する人が多数いらっしゃいます。
年末調整、確定申告時になって慌てて作業を行うよりも事前から「顧問税理士」に丸投げしておけば作業もらくちんに終わります。
今は月額1万円を切る格安顧問料の税理士さんや会計士さんもいらっしゃいますので、煩雑になる納税会計処理はぜひ専門のプロへ依頼することをおすすめいたします。