インボイス制度導入でどうなる?! 芸能関係者の出演料

インボイス制度導入でどうなる?!舞台や音楽などの 芸能関係者の出演料について

お悩みの人
音楽会などのイベント出演で生計を立てています。これまで1年間の売上(出演料など)が1000万円以下だったので消費税等の納税はしていませんでした。インボイス制度がスタートすると私のような年間売上1000万円以下の事業者にも打撃をうけると聞きました。本当でしょうか?

はじめに

こんにちは。芸能関係で働く影谷(かげたに)です。

新型コロナで冷え切っていた芸能・舞台の世界も日に日に戻りつつあります。

感染者の減少に伴い、コンサートホールなどの収容者数の規制緩和や、ルールの簡易化が始まり、現在では「イベント中止」という事態だけは避けられるようになりました。

これまで入場定員数を10分の1くらいに設定せねばならず、それでは公演主催者サイドにギャラが支払えるチケット入場料が確保できず、負のスパイラルに陥っておりました。

古参の芸能関係社が倒産することは稀なことではなくなり、私の知り合いの音楽関係者・演奏者たちも新たな道を探るものもおりました。

このコロナが落とした傷跡を大変苦しく感じるばかりです。

 

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さて、本日は2023年10月1日からスタートする「インボイス制度」について考えてみたいと思います。

売上1000万円以上ある事業者に対して行われることを目的としている裏でこの制度は、1年間の売上1000万円に満たない、いわゆる「免税事業者」の芸能関係者にも大きく影響を与えるものです。

制度の内容を理解し、対策を考えるお手伝いをさせていただければ幸いです。

こんなお悩みを解決します。

本記事の内容

 インボイス制度とは?

 インボイス制度の影響

 インボイス制度への対策

 インボイス制度への登録方法

 結局どっちが得?

 

記事の信頼性

 

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。

現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。

特に対面営業と経理実務に関することを追求することが好きです。

<インボイス制度とは?>

  • インボイス制度の概要

インボイス制度とは、日本での正式名称を適格請求書等保存方式と言い『複数税率に対応した、消費税の「仕入税額控除」の新しい方式』のことを指します。

インボイス制度は 2023年(令和5年)の10月から導入されます。この制度のもとでは、事業者が「消費税の仕入税額控除」を受けるための条件として、インボイス(一定の事項が記載された請求書や納品書などの帳票)と、帳簿の2つを保存する必要があります。

インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者だけです。

適格請求書発行事業者になるには税務署へ申請して登録を受けなければなりません。

そして、登録は課税事業者しか行えないため、1年間の売上が1000万以下の免税事業者は適格請求書発行事業者になることができない(=インボイスを発行できない)ということになります。

【ポイント】 消費税の免税事業者とは?

消費税の免税事業者とは、消費税の納税を免除されている事業者、すなわち納税義務のない事業者で主に年間売上高が1千万円以下の事業者を指します。

課税事業者と違い、これまで売上が1千万万円以下の免税事業者は売上に対しての消費税の納付義務がありませんでした。しかし、今回のこの制度で見直しがされようとしています。

  • インボイス制度が導入される背景

インボイスは複数税率のあるヨーロッパにおいて先に導入されていた制度です。

2019年、日本でも消費税が8%から10%へ引き上げられるのと同時に軽減税率が導入されました。

軽減税率は、日々の暮らしに欠かせないモノやサービスの税率を低く設定することで、私たちの生活にも配慮するための仕組みです。生活必需品は8%、その他は10%というもので、日本でも複数税率が存在することになりました。

そこで、モノやサービスの売手に対して「明細ごとに税金の金額を明記した納品書や請求書を発行すること」を義務づけ、買手に対して「受け取った納品書や請求書をいつでも確認できるよう保存すること」を義務づけたものが、インボイス制度なのです。

  • インボイスは具体的にどのようなものか

インボイスとは英語では「商品の明細がついた請求書」という意味ですが、日本語での別名は「適格請求書」になります。この「適格」とは「法律で定められた事項が、ちゃんと記載されている(= 明細ごとに、消費税率や税額が明記されている)」という意味です。消費税が8%と10%の複数税率になったことで、どの明細にどれだけの消費税が掛かっているのか、売手・買手・税務署の誰が見ても分かるようにするためのものが、インボイス=適格請求書です。

またインボイスとして認められるためには、法律で定められた6つの項目を記載する必要があります。こちらの記載事項について後ほど「請求書・領収書の書き方」でお伝えします。

<インボイス制度での影響>

ここであなたが音楽演奏家として仮定し、主催者(課税事業者)から演奏依頼を受けてコンサートを実施したとしましょう。

  • 主催者(課税事業者)への影響

年間1千万円以上の売り上げがある課税事業者はインボイス制度がスタートすると「買手からインボイスを求められると発行しなければならない」義務があります。

ということはあなたが出演するコンサートのチケットをお客さん(買い手側)が購入した場合、主催者は「発行した領収書がインボイスに対応した領収書」を渡さなければなりません。

チケット購入の場合、チケットの半券が領収書の代わりとなることも多く(税務署への申告はOK)、チケットの券面にインボイスに対応した内容を明記する必要があります(簡易適格請求書)。課税事業者は購入者への領収書やチケットにはインボイスに対応した書類整備の必要になります。

  • 出演者(免税事業者)への影響

ここからがポイント!

今度は逆のパターンです。

例えばあなたが免税事業者の音楽演奏家であった場合、今度は逆に主催者(課税事業者)が買い手側となります。

あなたには主催者からの出演謝礼として報酬を受け取ることとなりますが、当然その支払いに対しての領収書を要求してくるでしょう。

なぜなら課税事業者である主催者としては消費税の仕入税額控除を行うためにも、相手方(あなた)よりインボイスの領収書を受け取る必要があるからです。

【ポイント】 消費税の仕入税額控除とは?

仕入税額控除とは、課税事業者が消費税を算出する際に課税売上の消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引くことを言います。

例:売上分の消費税100万円 ― 仕入分の消費税50万円 

=納付消費税額 50万円

  • 課税事業者(主催者)はこれから免税事業者(免税演奏家)との取引を行う場合、敬遠しがちになる

免税事業者である年間売上1千万円以下の個人事業主やフリーランス等の演奏家さんはこれから苦しい時代になります。

なぜなら消費税を納税していない免税事業者と取引を行う場合は、インボイス制度が始まると、課税事業者は、免税事業者から購入した商品・サービスの費用を仕入税額控除できません。

つまり、控除が受けられない=納める消費税が多くなるということであり、その分だけ課税事業者の利益が減ってしまうということになります。

これから課税事業者である主催者は下記のようなことを考えていくと思います。

想定されること

①モノ・サービスの品質や金額が同等であれば、免税事業者の演奏家よりも他の課税事業者に依頼するように切り替える。

②どうしても免税事業者である演奏家へ依頼をする場合は仕入税額控除できないので、報酬価格から消費税分の10%を減額するように求める。

ということが想定されます。

主催者もまた興業主です。できるだけ持ち出しをせずにコンサートを主催したいと頭をひねっています。

インボイス制度は演奏家のクオリティーやオリジナリティーの壁を越えて影響していくものかもしれません。

〈インボイス制度の対策〉

ではこのような影響を受けないためにも対策を考えてみましょう。

対応策① 自分も課税事業者となり、インボイスを発行できるようにする

インボイスを発行できる適格請求書発行事業者は、課税事業者しか登録申請できません。

「前々年の課税売上高が 1,000 万円以下の法人や個人事業主」「新たに設立したばかりの法人」は原則として免税事業者となりますが、税務署へ届け出(消費税課税事業者選択届出書)を提出すれば課税事業者になることができ、適格請求書発行事業者への登録申請が可能となります。

なお、通常は①課税事業者になる→②適格請求書発行事業者になるという手順が必要ですが、インボイス制度の導入にあたり経過措置が設けられています。

2021年10月1日〜2023年3月31日の間に適格請求書発行事業者の登録申請をした免税事業者は、課税事業者となる届け出を省略でき、インボイス制度の開始(2023年10月1日)と同時に課税事業者になれます。

対応策② 免税事業者のまま、消費税分の取り扱いをどうするか主催者(取引先)と相談する

先ほどの「想定されること」で解説したように、免税事業者のまま取引を続ける場合は以下のような影響が予想されます。

  • モノ・サービスの品質や金額が同等であれば、免税事業者よりも課税事業者から仕入れるように切り替えられてしまう可能性がある
  • 仕入税額控除できないので、今まで請求できていた消費税が請求できなくなる(実質的に売上が10%減少する)

しかし、すべての課税事業者が上記のような対応を考えているとは限りません。「今までどおり出演依頼を続けたい」と考える課税事業者も多いはずです。

インボイス制度導入後も免税事業者のまま事業を続ける場合には、取引先がどのような意向であるかを早めに確認し、どのように対応すればお互いに納得して取引が続けられるのか相談・調整を行うことが大切です。

あなたの演奏家としてのギャラは10%カットされてしまうかもしれませんが、それは決して演奏のクオリティーが下がったということではなく、「国家からのカツアゲ」が鬼の業ということであり、あなたの演奏家としての努力が汚されているということではありませんので、落ち込まないように頑張ってほしいです。

インボイス制度への対応方法:事前の届け出や書類の作成・管理方法は?

「よし!!では、この機会になってみるか!主催者さんとこれからも気持ちよくお付き合いしたいから!!」という理由で「課税事業者」として登録しよう!という人もいるかもしれません。

インボイス制度への対応を進めるにあたって必要な届け出や、書類の作成方法・管理方法について簡単に触れておきます。

事前に必要な届け出

①税務署に届け出て「適格請求書発行事業者」として登録する必要がある

インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者だけです。適格請求書発行事業者になるためには、税務署への申請が必要です。登録申請書を税務署に提出し、審査を経て登録番号が通知されると、適格請求書発行事業者になれます。

 

②「適格請求書発行事業者」の登録(届け出)の方法

e-TAX を使えば電子申請を行えます。電子申請の場合、本人確認書類の添付を省略でき、また個人事業主はスマートフォンからの申請も可能で便利です。

e-TAXを利用しない場合は、申請書を所轄の税務署へ①直接持参もしくは②郵送して申請できます。申請書の書式は国税庁のWebサイト「適格請求書発行事業者の登録申請手続」からダウンロード可能です。

適格請求書発行事業者の登録申請に手数料等はかかりません。

 

③いつまでに届け出れば良いか?

2021年10月1日〜2023年3月31日までの間の申請が推奨されています。

登録申請書は、インボイス制度導入の2年前となる2021年10月1日から提出が可能です。これより前に申請しても受理されないのでご注意ください。

インボイス制度導入は非常に多くの事業者に影響することから、申請書の審査には時間がかかることが予想されます。2023 年10月1日の制度導入と同時にインボイスが発行できるようになる(=適格請求書発行事業者として登録される)ためには、導入半年前の 2023年3月31日までに申請書を提出するよう、国税庁は推奨しています。

課税事業者になるのとならないのとでは、結局どちらの方が得なの?

ではお金的にはどちらが得なのか、考えてみましょう。

インボイス制度導入の背景を踏まえ、メリット・デメリットを総合的に判断しましょう

インボイス制度の導入が発表されてから、インターネット上では「個人事業主やフリーランスは、インボイス制度によって損をする」という情報をよく見かけるようになりました。

1989 年の消費税導入以来、ビジネスの現場では「免税事業者は消費税を請求できるが、納税はしなくても済む」つまり「消費税分を自分の利益にできる」という状態が長く続いてきました。本来であれば、一般消費者が支払った消費税は、事業者を通じて国・地方自治体に納められ、社会保障のために使われるはずです。しかし、一部の消費税は納税されることなく、免税事業者の利益(=益税)となってしまっていたのです。

行政がこのような実態を容認してきた背景には、以下のような理由があったと言われています。

  • インボイスの作成・管理や、消費税の納税にはそれなりの事務作業が必要であり、小規模な免税事業者にとっては負担が大きいため
  • 買手側からすれば、同じ品質・料金のモノ・サービスであれば仕入税額控除できた方がメリットがあることから、免税事業者より課税事業者から仕入れるようなインセンティブが働きやすい(小規模な免税事業者は不利になりやすい)ため

「小規模な事業者の保護をどうするのか」という側面では今後の議論や制度整備を待つ必要がありますが、行政の方針として「消費税について長く続いていたいびつな状態(益税)を解消し、より適切な税金の運用を図ろうとしている」という点は、インボイス制度が導入される前提として理解しておいた方がよいでしょう。

金銭的面では、インボイス制度導入後は消費税分の請求ができなくなりますので、単純な差し引きではその分の利益が減少する可能性があります取引先である課税事業者との間で、これまで請求してきた消費税分の取り扱いをどうするのか、調整の必要もあるでしょう。

「消費税分の取り扱いについて、いちいち取引先との調整や交渉を行わなくても良い」という意味では、課税事業者に切り替えるという選択肢も検討の余地があります。

また、年間の課税売上が1,000万円を超えれば自動的に消費税の納税義務が発生しますので、これから事業を伸ばして年間課税売上が1,000万円を超える見通しが立っているなら、このタイミングで先に切り替えておくというのも合理的です。

取引先との関係性や、課税売上/仕入の金額がどれくらいあるのかを試算して、課税事業者となるべきかどうか検討することが大切です。

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2023年からはこのインボイス制度がスタートすると適格請求書・領収書の日々のチェックの対応策に追われるだけでなく、面倒な確定申告も待っています。

そんな時は決算料不要!、月額9000円で全てお任せできる「新田会計事務所」がおすすめです。

面倒な税務処理や経理処理を行っている時間を演奏活動や営業活動を行う方がよっぽど有効な方法だと思います。

下記のページで詳細を書いておりますので参考にしてみてください。

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最後に

消費税法で定められたインボイス制度は令和5年10月からスタートします。

実務では、取引先からの要望で、請求書や領収書へ記載する事項を調整することが多くあります。インボイス制度が始まるまでに取引先と事前にコミュニケーションを取り、お互いの対応方針を明確にしておきましょう。

以上、ありがとうございました。

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執筆者【経歴】関西出身 ▶︎年商2億円の事務所経営経験(芸能関係/10年) ▶︎国内ポピュラーコンサート・イベント運営企画 業務に携わっています▶︎ Blog「黄金の知恵袋」 (最高月3万PV )運営 ▶︎ 元・超あがり症 ▶︎ ビジネスに関する税対策や経営実務が得意です ▶︎伝えたいこと:自分がビジネスマンとしてレベルアップしたときに経験した知恵と面倒な経営実務や財務処理、税の対策を中心に「経営で頑張る人」に悩みとその解決策をお伝えしています。▶︎メッセージ:このブログのビジネステクニックや思考力を実践して一流のビジネスパーソンを目指してください!