■目次
ユーチューバー(YouTuber)の確定申告はきちんと考えよう

はじめに
こんにちは。影谷(かげたに)です。
最近よく話題になるのがYouTuber(ユーチューバー)です。
副業の多様性も近年は多岐に渡り、本業以外の労働所得になるようなアルバイトばかりが副業といえる時代ではなくなりました。
不労所得といわれるようなアフィリエイトやブログ広告収入、仮想通貨などが代表的ですが、最近ではユーチューバー(YouTuber)での活躍が新しい副業収入として認知されつつあります。
TVでの出演が諸事情で露出できなくなった芸能人やタレントがYouTubeの世界で再活躍し、テレビ出演時の収益を遥かに凌ぐお金を稼ぎ出しているようです。
一般人でも手軽に行えるツールとして爆発的にその勢いは広がっていますが、確定申告などの税金の問題についてはまだまだ理解が少ないように思います。
本日は現在ユーチューバーとして活動中の方や今後ユーチューバーになろうと考えている方に向けて、確定申告はどのような人が対象になるのか、どのような手続きをすればよいのかをご紹介したいと思います。
✔本記事の内容
✔ 確定申告とは
✔ ユーチューバーが確定申告が必要になる条件
✔ ユーチューブの収入で副業がバレる?
✔ 青色申告と白色申告
✔ ユーチューバーの経費
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経理実務、税に関することを追求することが好きです。
確定申告とは
確定申告とはざっとまとめるとこんな感じです。
◆1月1日から12月31日までの所得にかかる税金を計算する
◆毎年2月16日から3月15日までに、前年の所得を税務署に申告・納税する。※例年の場合
◆原則は個人事業主(フリーランス含む)。サラリーマンは必要なし。ただし、20万円以上の副業所得が1年間にあると申告が必要。
確定申告をしない罰がある。
上記にあてはまるにも関わらず、申告を怠ればそれは「犯罪」です。
確定申告の義務があるにもかかわらず、申告をしていないことが発覚した場合、無申告加算税が課されることがあります。
無申告加算税は本来の納税額に対して、50万円以下の部分には15%、50万円を超える部分には20%の割合で課税されます。
それに加え、期限後に確定申告をした際に納付しなければならない税金があることが発覚した場合は、延滞税も併せて課税されます。
延滞税は本税に対して課される税金であり、納付期限が過ぎてから2か月までは年2.6%(令和2年の場合)、2か月を超えてからは年8.9%(令和2年の場合)の割合で課税されます。延滞税は損金に計上することができませんし、必ず納めなければなりません。
また、意図的に脱税行為(仮装や隠蔽)をしたと発覚した場合には、重加算税の対象となります。重加算税の税率は高く設定されており、本税に対して35%〜40%の税率で課税されることになります。

YouTuberの確定申告が必要になる条件
以下に該当するユーチューバーの方は、確定申告が必要となります。
- 会社員として働きながら副業でユーチューバーとして活動し、ユーチューバーとしての所得が20万円超ある
- 他に収入がない状態で、ユーチューバーとしての所得が48万円を超える
- 会社員として働いていて、会社から支給される給与が2,000万円を超える
- 2箇所以上から給与の支払いを受けていて、金額の少ないほうの給与所得が20万円を超える
- 年間所得が38万1円以上の基礎控除対象者の方(専業主婦や学生を含む)

副業YouTuberの注意点「収入=所得」ではない
YouTuberを副業で取り組んでいる場合、注意しておきたいのは、対象となるのは「収入」ではなく、あくまで「所得」であるということです。
つまり、収入からその事業(YouTube)を運営するにあたっての経費を引いて、利益として残る部分の額で判定する点に注意しましょう。
専業YouTuberの注意点
YouTuberを専業で取り組んでいる方は、YouTuberとしての活動やその他の所得を合わせた合計金額が基準となります。
事業を継続的に営んでいる方であれば、所得は原則的に「事業所得」として扱われることになります。
この場合、申告する際には「申告書B」を用いる必要がありますので、注意しましょう。また、事業所得の場合は「青色申告」で行える可能性があります。青色申告特別控除や3年間の赤字繰越、30万円未満の減価償却資産が一括で経費算入可能になるなど、メリットもありますので、検討してみるといいかもしれません。

副業がバレる?20万円以下で確定申告しなくても住民税申告は必要
基本的に給与以外の所得が20万円以下の方は、確定申告は不要になりますが、ここで注意が必要です。
たとえ確定申告不要であっても副業で収入が発生した場合、住民税申告は必要になります。
確定申告をした方や年末調整が行われる方は、申告した所得等の内容が税務署から自治体に通知されるため、住民税も自動的に計算されます。
しかし、確定申告をしないと収入状況が把握できないため、住民税が計算できません。そのため、住民税申告(毎年2月1日から3月15日の間に市役所の税務窓口)をして収入状況を市町村に知らせる必要があるのです。
また、住民税の基礎控除である43万円を上回る収入がある場合は、住民税が課税されます。
ユーチューバーを事業として行なっている方は、毎年6月頃に自治体から送付される納付書を使って納めます(普通徴収)。
一方、本業とは別に、副業としてユーチューバーをしている方の住民税は、何もしないままだと本業の給与から本業の住民税とまとめて天引きされてしまいます(特別徴収)。
実は、会社員の副業が会社にバレてしまう原因の1つは、この住民税の特別徴収にあるのです。
会社に副業がバレる原因は「住民税」?
副業でユーチューバーをしている方の中には、会社にバレないで活動したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
そもそも会社に副業がバレてしまう原因は、給与から徴収される住民税の額が多くなってしまうことにあります。
住民税は昨年の合計収入にかかる税金です。給与所得者である場合、副業での収入にかかる住民税も本業の給与からまとめて徴収するため、住民税額が決定した時点で、自治体から会社に通知がされます。その際に、住民税の金額が不自然に多いことに気付かれて、副業をしていることがバレてしまうのです。
このとき、住民税を「普通徴収」にすることで、ユーチューバーとしての所得にかかる住民税は自宅に送付される納付書で納めることになり、副業をしていることが会社に気づかれにくくなります。特別徴収とは違い自分で納めなくてはならないので、忘れないように注意しましょう。
また、普通徴収に変更するためには、確定申告をすることが必要です。申告書第二表の住民税に関する事項にある「住民税の徴収方法の選択」欄の「自分で納付」に○をつけることで変更できます。

ユーチューバーとしての活動による所得金額が20万円以下で確定申告が必要ない方は、住民税の申告の際に、普通徴収に○をつけることで変更できます。

青色申告と白色申告の違い
確定申告では、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得金額を申告します。正しい金額を申告するために、収入金額や必要経費に関する日々の取引を帳簿に記帳し、保存しておきましょう。
確定申告には青色申告と白色申告の二種類があります。違いは以下の表のとおりです。
白色申告 | 青色申告 | |
---|---|---|
事前の届け出 | 不要 | 必要 |
記帳方法 | 簡易簿記 | 簡易簿記または複式簿記 |
貸借対照表 | 不要 | 必要 |
損益通算表 | 不要 | 必要 |
特別控除額 | 0円 | 10万円または65万円 |
赤字の繰越 | 不可 | 最長3年まで可能 |
減価償却の一括計上 | 10万円未満なら可 |
30万円未満なら可 |
専従者給与の経費計上 | 配偶者は86万円、 その他家族は50万円まで可 | 制限なし |
青色申告には、税額を最大で65万円まで控除できたり、30万円未満の資産を一括で減価償却ができるといった、さまざまなメリットがあります。65万円の特別控除を受けるためには複式簿記で記帳しなければならないというデメリットもありますが、白色申告と比べると大きな節税効果が期待できます。
一方白色申告は、記帳は単式簿記で行うため、記帳の煩雑さを軽減できるというメリットがあります。また、青色申告は事前に税務署に申請しなければならないのに対し、白色申告は特に申請等の手続きは必要ないため、申請の手間を省くことができます。しかし青色申告の特別控除などの制度はないため、節税効果は期待できません。
青色申告ができる条件とは
ユーチューバーが青色で申告できる条件は、ユーチューバーを本業(事業)として行なっているということです。
副業として活動している場合の所得は雑所得に該当するため、白色で申告することになります。
事業所得と雑所得に明確な区分はありませんが、一般的にその収入で生計を立てているかどうかが判断基準になります。
ユーチューバーとしての活動による収入で生計を立てていれば事業所得、給与所得など本業の収入で生計を立てていれば、ユーチューバーとしての収入は雑所得ということになります。
YouTuberはどこまでが経費として認められるか
経費とは、事業を行う上で必要な費用のことを言います。しかし、実際に経費として認められるためには、事業への関連性と、事業を行う上での必要性が証明できなければなりません。
ユーチューバーを事業として行っている場合は、一般的に以下の費用が経費として認められることが多いようです。
- 動画撮影用・編集用の機材(カメラや編集用のパソコンなど)
- 撮影のために必要な材料
- 撮影のための交通費
- ユーチューバーとして必要な交際費
- 事業を行う上で必要な家賃・光熱費

確定申告は自分でやるor税理士・会計士へ丸投げする
確定申告を行うのはとても重労働です。
簿記の知識があり、申告や経営実務が得意な方であれば自分で申告することも可能でしょう。
最近では会計ソフトなども優秀ですのでそういうものを利用するのが良いと思いますが、青色申告を行いたいと言うのであれば「顧問税理士(会計士)という方法もあります。
本業であるYouTubeに命をかけて、煩わしい会計処理を税理士へ丸投げすることも良いと思います。
丸投げについての記事は過去にご紹介しましたので、下記を参考にしてみてください。
おわりに
YouTubeはとても手軽に始められて、一発あてられるような旨味もあります。
個人が自由に発表できる場としてチャンスも多いですが、稼ぎが出たら「確定申告」をちゃんと行わないと痛いしっぺ返しを喰らいます。
確定申告をしなくてもバレないということは絶対になく、少額のネット収益がある個人に対しても、税務調査は行われます。
税務調査が行われ無申告であることが発覚すると、本来納める税金よりも多くの税金を納めることになってしまいます。
必ずYouTubeで稼いだら、確定申告を行うと肝に銘じておきましょう。