■目次
違法?自転車通勤の交通費不正受給について
はじめに
こんにちは。影谷です。
本日はわが社の恥部をネタにします。はずかしい・・・。
わが社で雇っているアルバイト男性(70代)が会社に届けている交通手段(彼の場合は電車通勤を選択)以外の方法で通勤していることが判明しました。
うすうす感じていたのですが何年もそのような行為をしていて、今回はっきりとさせようと「交通費の不正受給ではないのか?」ということを本人に問い詰めました。
結果的に定期券のコピー提出後に払戻しを行って不正に交通費を受給していたようです。
高齢者雇用で採用し、よくやってくれていると思っていただけにとても残念ですが、「会社のスジ」を今回は通させていただきました。
本日はこのわが社の汚点と今後の対策を考えるべく、ブログで紹介します。
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経営実務に関することを追求することが好きです。
まず不正受給にあたるか確認
まず確認しなければならいのは、「就業規則」です。
もし、「交通費は、最寄りの公共交通機関を利用した場合の額を支給する」と記載されている場合、交通費は交通機関の料金の支払いではなく、「通勤」という行為に対して支払われる賃金となります。
つまり、計算方法が便宜的に公共交通機関の料金を利用しているだけと考えるので、同じぐらいのところから通勤している社員と通勤距離で賃金に差を設けるのは好ましくないため、交通手段にかかわらず同じ距離なら同じ交通費と考えて支払いを行うということです。
就業規則に公共機関を利用した場合のお金を払いますよ、という場合は自転車通勤で定期代をちょろまかしていても不正行為にはなりません。
ただ当社の場合、「報告した公共機関での通勤経路を支給する」という規則で定めていますので、このアルバイトさんは規則違反ということになります。

通勤経路以外の手段を使っている証拠をつかむ
これでこの70代アルバイトについての規則違反がわかってきました。
次に不正行為を働いている確証をつかむ必要があります。
本人に問いただすと「たまたま、自転車で来ていただけ」「定期は紛失した」などと言って逃げる口実になります。
有無を言わさずに処罰すればいいのですが、それだと労基に引っかかるし、今は労働者も法に守られています。下手なことをするとこちらが労働基準監督署から調査を受けてしまい、社会的にマイナスなのできちんと確証を積み上げることが大切です。
私がまず行ったことは、自転車通勤の実態の調査です。職場内のスタッフの聞き取り調査、監視カメラの確認、定期代の払戻を行っているか駅(該当する電鉄会社)へ確認すること(定期コピーは提出させていた)、を行いました。
この3つがあれば十分に不正行為がわかります。このアルバイト職員もきっちりと払戻しておりました。
不正はあるが支給されるべき金額はあるのでその差額を計算する
定期代金不正受給はこれではっきりしました。しかし、彼もきちんと出勤して仕事はしておりましたので、本来の正しくある交通費は支給しなければなりません。
当社の場合、自転車通勤は許可しておりますので(事故など責任問題からNGのところも多い)、距離数×単価で計算した費用を支給することになります。
もちろん電車代よりも低い設定なのでこのままでは過払いですからその分を取り戻す必要があります。

過払いした交通費を取り戻す法的根拠
支給した交通費は給料から天引きすれば良いのですが、それも勝手にやるとモメる原因になります。
きちんとこれは法に触れているのだよ、と教えてあげましょう。
法的根拠:民法 債権 703条(不当利得の返還義務)
内容を読んでそのままのとおりです。
自転車通勤の差額分を必ず返還してもらうようにしましょう。
そしてこれが仮に裁判になったとしたら、ちゃんと判例もあります。
判例:かどや製油事件(東京地裁平成11年11月30日)
これによって、交通費の返還義務ならびに懲戒免職も有効とされました。

懲戒処分
今回の問題は個人の軽率な欲が起こした事案かもしれません。しかしたった数千円のお金をちょろまかすことが問題ではなく、その働いている人間の信用性を失っていることが問題なのです。
このような人間が良いサービスを行えることはありません。良い仕事を行えるとは思いません。
この案件を見逃せば、会社の売上に手を付けるかもしれません。
だから厳重に会社としては対応しなければならないのです。

おわりに
このアルバイト職員は今年の契約満了3月を待たずにこの9月で退職してもらうことにしました。
ほんとであればすぐにでもクビにしたいところですが、それも法によって守られているのです。
今後の彼の仕事ぶりはとてつもなく雑なのモノになるでしょう。
それも含めて会社経営の難しさを改めて認識した次第です。