知識を分けて人を育てる方法(たまうつ)
宮古島市教育委員会 /川上哲也 教育長
はじめに
人からものを学ぶ時、あなたはそれを当然のことだと思いますか?
語学の勉強、資格受講、仕事のやり方や引き継ぎ・・・。
経営者であれば、それは「学ぶ」というのは自ら進んで行うものであると感じる方も多いと思います。
本日はその知識を分け与えて人を育てるという思考力をお届けいたします。
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経営実務に関することを追求することが好きです。
宮古島市教育委員会 /川上哲也 教育長
川上哲也(かわかみ・てつや) 1948 (昭和23) 年、 池間島出身。 70年琉球大学卒。 大神中学校を皮切りに教鞭を取り、 99年西辺中学校長就任。 2008年西城中学校長を最後に退職。 宮古教育振興会理事長。 主な著書に 「『たまうつ先生』 学校経営 (西辺中学校) 実践録」 (03年、 文芸社)、 「 『カツオ万歳』 ふるさと池間島のカツオ風土記」 (07年、 文進印刷) など。
川上先生との出会いは宮古島での芸能公演巡業でのこと。
私は芸能巡業をどさ回りのように、日本全国津々浦々開催して回っていた制作マンでした。
北は北海道、南は沖縄。
宮古島は私の営業エリア最南端でした。
ちなみに別支社の人間は、北はロシア、南は台湾という人もいたし、北はフィンランド、南はインドネシアという人もいました。ごく稀に海外招聘などもあったので、その制作マン達の苦労は計り知れないものでしたね。
沖縄本島にはプライベートで旅行したことはありましたが、宮古島へは仕事で初めて訪れました。
しかし、リゾート地にネクタイ締めて革靴履いてのスタイルは完全にアウェー。
空港からの送迎バスで他の乗客の南国気分をぶち壊すようなその丸の内スタイルは私の心を「南国なのに北国気分」という新しい私の一面を教えてくれました。

宮古島の洗礼
川上先生とは公演巡業の際に、「子ども達にも鑑賞して欲しい」という想いから、ご相談に上がったことがきっかけです。
お会いしたその晩に「よし、みんなで飲みに行くよ」と連れ出され、宮古島伝統・酒盛り法「おとおり」をこっぴどく回され、べろべろのばろばろの、ぐでんぐでんのぐでんのぐでん、へべれけのはばねろの、あっちょんぷりけー状態になり、次の日の仕事を二日酔いで全て飛ばすという失態を犯しました。
宮古島に在島中は、一ミリも酒を見たくないという「逆アル中」になりました。
あとから先生に「おとおりは拒否してもいいんだよ。最近はお酒を勧めるのも難しい時代になったからね」と言われ、
だったら、止めてよ!と心の中で叫んだことを覚えています。
結構お酒が強めの私でも、最終的に泡盛を2升ぐらい飲んでいたそうで、「うわだいずいけるね(あなたかなりいける口ね)」と、途中から泡盛を原液で飲んでいたようです。
記憶は飛びませんでしたが、二度としないと心に誓いました。

※最後は全員で猫も杓子も入り乱れてのカチャーシを踊る。
たまうつ
川上先生とお会いしたときに、先生のユニークな教育法をお聞きしました。
学校の先生でもあった川上先生は在職中に地域の人材を講師に招き入れる 「たまうつ先生」 と称したユニークな指導法を展開されました。
「たまうつ」とは漁獲物を平等に分配する行為から生まれた宮古島独特の方言で、知恵を分け与えるという意味が含まれているそうです。
川上先生は地域のおじいやおばあが「たまうつ先生」となり、生徒に貴重な歴史や文化を伝えていくという取り組みを積極的に行いました。
「地域コミュニティが薄れていくということはそれだけ郷土の伝統も失われるということ。方言は消えゆく文化かもしれないが、 たまうつ先生で先人の教えを取り込んでいくことは子ども達へプラスに働く違いない。次世代へ引き継ぎ、先輩たちの知識、 技能、 技術、 知恵を発掘し、 子どもたちの教育に生かしたい。」

お恥ずかしいお話しですが、自分は知識を分けてもらうという認識はあまり感じたことがありませんでした。
事業を引き継ぐときも「もっと効率的にできなかな。」とか、「自分だったらこうする」と初めからその先任たちからの知識をシャットダウンした事がありました。
結果、私の事務所経営の船出は前途多難な「難破」の連続になるのですが、今思えば「たまうつ」という意識で謙虚にならねばならなかったのだろうと感じます。
これは以前紹介した京セラ・元会長の伊藤謙介氏の「守破離でやりなさい」というビジネス思考力と同じかもしれませんね。
伊藤謙介 「守破離でやりなさい」
あと川上教育長さんのお部屋にはなぜか「ウサビッチ」の怒りのキャラクターがプリントアウトされて飾られていました。
とても不思議に思ったので、「これ・・・なんですか?」と思わず聞くと、
「これ、うちの若い女の子が貼ったんだよ(笑)。僕はいつもすぐにカッカするから、戒めでね(笑)。慈悲の心を持てと。この慈悲の心は部下からの『たまうつ』だね。」
宮古島でもウサビッチがたまうつの心を伝えるだなんて。。。何からでも学ぼうとする姿勢って大切・・・と思いました(笑)。

本日は「たまうつ」をご紹介しました。
あなたも知識をあなたのパートナーや同僚、後輩に分け与えて「豊かな仕事づくり」を心がけてみてはいかがでしょうか?
「黄金の智恵袋」
本日もご覧いただき、誠にありがとうございました。
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