愚者の自覚を
水谷幸正 氏(元浄土宗宗務総長)
はじめに
あなたは自分が暴走していると自覚したことがありますか?
自分が行う仕事がうまくいっている時に調子にのってしまうことはありません?
私は若かったということもあるかもしれませんが、よくそんな状況に陥っていた(自分ではあまり自覚がない)ことが多々あったようです。
いつもそんな時に上司や取引先の人から「調子がいいときこそ落とし穴に落ちるから気をつけなよ」と言われたものです。
起業人として(企業マンのことを私は起業人であれと唱えています)、ビジネスパーソンとして「勝って兜の緒を絞めよ」の格言のように平常から気を引き締めていればよいのでしょうが、私も若輩者ですのでそんな仙人みたいな考えにはなかなか至りませんでした。
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この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経理実務に関することを追求することが好きです。
自分が調子に乗ると周りも調子に乗る。
私が「また調子に乗ってたのか!」とか「またやっちゃてたのか〜」と思う時のシグナルは私の調子乗りが他の部下や後輩スタッフへ伝染し、彼らが調子に乗った態度を知らずしらずのうちに取引先で態度で出てしまって問題やトラブルを起こしてくるからです。
不思議なもので仕事でのプラスの調子は後輩たちにもプラスに伝染し、マイナスの調子はそのままマイナスで伝染するのです。
仕事での成果を自分だけの成果と勘違いし、知らずしらずに横柄になっているのでしょう。
そんなトラブルが起こるたびに後輩を戒め、自分を戒め、人への感謝の念を強めていました。
今回ご紹介する言葉は水谷幸正先生の「愚者の自覚を」です。
【水谷幸正】
仏教学者。学校法人東海学園理事長、佛教大学元学長、学校法人佛教教育学園元理事長、浄土宗元宗務総長
水谷先生とお会いした時は「お坊さんなのに豪快な人だ!やはり高僧というものはまた違うオーラがでている。」と感じました。お世話になっている比叡山延暦寺の小林隆彰先生にも似ているなーと感じました。
→関連ページ 字とは運命と未来に影響を与えるもの(小林隆彰)
水谷先生と初めてお会いした時、「影谷というのか!僕は水谷!言っておくが谷という名前がつく奴に悪いやつはおらんのだよ!がはははは」と大きな声でお話いただいたことを印象深く残っています。
何の教えだろ??と愛想笑いするしかできない私でしたが、緊張している私を少しでもリラックスさせようと冗談を言ってくれたのでしょう。
愚か者という意識
そんな水谷先生から「愚者の自覚を」という言葉を聞きました。
この言葉は私個人へ伝えられた言葉ではなく、浄土宗の啓発ポスターに印字されていたキャッチコピーでした。
お部屋に貼られていたポスターを見て、私がどういうことなのでしょうかと直ぐに質問したのです。
この話をしていただいた時、とても詳しくお話いただいたのでですが、わかりやすく簡単にまとめると、浄土宗を開いた法然上人は幼少期より類稀なる秀才で大変勉強熱心な方だったが、いくら修行しても悟りを得られない自分を愚か者と考え、煩悩に満ちたこの世界にいる限り、完全な悟りを得ることはできない。阿弥陀様がいる極楽堂浄土でさらに修行を重ねたいと考えられた。
この考え(思考)こそが浄土宗という宗派を生み出すことになった。
というものです。
水谷先生は「君も仕事やプライベートでうまくいっていると思ったときこそ、この「愚か者の自覚」を思い浮かべることだね。自分は愚か者。完璧にできることなんてないってね。自分を戒めるのだよ。」
私もこの教えを自分に言い聞かせならが仕事をするようになりました。
現代社会で自分が愚か者だからと思うと、仕事への謙虚さもでるし、愚か者だからこそ自分の行動にも戒めが出る。
あなたも愚か者と思ってみてはいかがでしょうか。
あんなに豪傑だった水谷先生ですが2014年に永眠されました。
私に大きな影響を与えてくださった巨星はもういませんが、先生のお言葉は後世の頑張るビジネスパーソンへ伝えていきたいと思います。
今回は「愚か者の自覚」の思考力をお届けしました。
「黄金の知恵袋」
本日もご覧いただき、誠にありがとうございました。
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