■目次
仕事を選ぶ基準
自分と自分の家族にできないことを商売にしてはならない
農家(自営業)M氏 50代男性

はじめに
こんにちは。影谷(かげたに)です。
お聞きしますが、あなたの事業は自分や自分の家族に対して行える商売でしょうか。
本日は私が過去にお会いした「脱サラ農家」さんのお話しをお伝えしたいと思います。
本日の内容
✔本記事の内容
✔ 仕事を選ぶ基準
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経営実務に関することを追求することが好きです。
脱サラ農家が人気
農業就業人口の減少や高齢化が問題となっている一方で、「脱サラして農業を始めたい」という人が増えています。
最近では一度社会へ就職したものの、脱サラして生産者へ転向する若者も増えてきたそうです。
「脱サラ農業」は一種の流行かもしれませんが、独立して農業を営む、すなわち事業主として経営者になるということと同じですね。
私がお会いした脱サラ農家さんは印刷系のお仕事をされていたのですが、40半ばで脱サラし、農業を始めた方でした。
突然の脱サラ宣言に家族一同驚愕したそうですが、今ではおばあさん、奥さん、お子さんの協力もあって、立派な農家として自営されています。

新規農業者を援助する動き
政府は次世代を担う農業者の育成・確保に向けたさまざまな取組みをしています。
第一次産業といわれる「農業」生産者が減少していることに危機感を覚えているのは、後継者に悩む地元農家ばかりではありません。
国は農家の経営が安定するまでの金銭的サポートや技術の習得、経営力の向上など、農業で自立するためのサポートを受けられるため動きが加速させています。
特に「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」という助成金制度があることが、脱サラ農業を目指す人が増えている大きな理由でしょう。
農業次世代人材投資資金
就農に向けた農業技術や経営ノウハウの習得に専念するための「準備型」、独立就農後に、経営が安定するまでのサポートが受けられる「経営開始型」の2種類があります。
「準備型」とは、
都道府県が認める農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者が、最長2年間、年間最大150万円を受け取れる補助金
「経営開始型」とは、
新規就農者が農業を始めてから経営が安定するまで最長5年間、年間最大150万円を受け取れる補助金
準備型 | 種類 | 経営開始型 |
---|---|---|
就農に向けて、農業の技術や 経営ノウハウを学びたい人 |
対象 | 独立就農したが、経営が安定せず サポートが必要な人 |
(就農予定時の年齢が)原則45歳未満 | 年齢 | (独立・自営就農時の年齢が)原則45歳未満 |
最長2年 | 給付期間 | 最長5年 |
150万円/年 ※研修後の就農が条件であり、研修後1年以内に 就農しない場合は、全額の返還が必要です。 |
給付金額 | 150万円/年 ※前年の所得に応じて給付金額が変動します。 |
私の知っている脱サラ農家Mさんの農業に対してはなみなみならぬ決意がありました。
勝手なイメージかもしれませんが、「農業=自然の中でのんびり仕事」というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、そんなことは全くありません。
Mさんも「まさかここまで大変だとは・・・」と漏らしていたことを思い出します。
輸入に頼る日本の自給率をあげることができるのは農家です。
そしてそこにビジネスチャンスを思い描く人も多いでしょう。
しかし、「農業で稼ぎたい」という強い気持ちを貫くには、自分が本当に農業で生きていく覚悟があるのか、意思を確認する必要があるでしょう。
Mさんは25年勤めた会社を早期退職し、家族を説得して一家総出(子ども、奥さん、自分の両親含む)で田舎へ移住しました。
作物を育てるノウハウだけでなく、重機やハウスなどの初期設備投資、流通ビジネス・・・、農業がこれほどにも大変な作業だとは思わなかったそうです。
Mさんは農業だけでなく、酪農も行い出しましたので、絶対くじけない情熱、そして後戻りできない退路を断ち切った「背水の陣」で農家を始めました。
農業は天候トラブルをはじめ、作物病気被害、家畜疫病、流通被害・・・さまざまなアクシデントが発生することも考えられ、逆境を乗り越える粘り強さも必要になります。
脱サラ農業でチャンスをつかむために
Mさんは相当な覚悟を持って農業を始めました。
今では立派な農家として安定した収入を得ているようです。
自分の時間は勤め時代よりも手間がかかる分、自由に出来る時間は少ないそうです。また家族全員での旅行も農作物、家畜の世話の関係で行けなくなったそう。
しかし、それ以上に「自分が生きているという充実した時間」を過ごせるようになったということでした。
また稼いだお金を家族のために十分に使える余裕が出来た、という心が満たされる気持ちも芽生えたそうです。
新規に農業を始めるためにノウハウを得るためのサポート制度はフルで活用され、またそれ以上に近隣農家とのコミュニケーションも200%の力で行ったと言っていました。
そこで得た経験と考え(思考力)に、今でも大切にされていることがあるそうです。

「自分と自分の家族にできないことを商売にしてはならない」
Mさんとお話ししていてお聞きしたことの中にMさんはこうおっしゃいました。
「決して自分や家族が食べたくないもの、食べさせたくない農作物は決して世の中に出してはだめということを農業を通じて学びました。農業は自然に任せた天候に左右される大地の恵みです。しかし農業ビジネスも存在するようにその生産性を上げる手段はいくらでもあります。化学肥料だけでなく、禁じ手とも言えるようなもの、また強制的に成長させる方法だけでなく、近隣農家にご迷惑をおかけするような自己中心的な方法だってある。しかしそんなことで出来上がった作物を自分の家族に食べさせたいかというと、答えはNO。負の作物を私は市場に出したくない。決して自分と自分の家族に対してできないことを商売にしてはならいと思っています。それが社会という世の中で働かせていただいている私なりの農家のポリシーです」
大変重い言葉に私も営業の押し売りを反省する場面が走馬燈のように蘇りました(笑)。
自分の家族にそのようなことは決してしない。
だったら社会でもそのようなことをしてはいけない。
今は良くても必ずそのツケは自分に戻ってくるのだから。
Mさんとの出会いは農業というジャンルで私とは全く違う業界ではありましたが、大変勉強になった思考力をお伝え頂きました。
商談中、農家のご自宅らしく玄関の土間に置かれた応接セットでお話しをしていました。
お茶の代わりにと、絞りたての牛乳をコップに注いでくれたことが懐かしく思います。
テーブルの上には今朝生けたばかりであろうヒマワリの大輪がコップに無造作に刺さっていました。
牛乳を飲みながらそのヒマワリを眺めていると茎の部分が真っ黒なので「茎が黒いヒマワリもあるのか−。」とよく見てみるとビッチリと黒いアブラムシが見たことの無い数で群がっていて(笑)。
それを見た瞬間に思わず牛乳を吹き出しそうになりました(笑)。
自然のままで愛でる・・・Mさんらしいと思った瞬間でした。

本日は農家さんから教えてもらった思考力をお伝えしました。
「黄金の智恵袋」
ご覧いただき、誠にありがとうございました。