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政府が目論む相続ルール変更 年間110万円の「生前相続」が標的に!??
はじめに
こんにちは。影谷です。
相続税対策の“王道”のひとつが、生きているうちに財産を子供や孫に渡していく「生前贈与」というものがあります。
これは年間110万円までの贈与であれば、税金はかからないというもの。この“非課税枠”を活用して、相続時に課税される財産を圧縮していくことが節税の錬金術ということです。
しかし、この制度に政府が新たに課税を加えようということを耳にはさみました。
今回はこの件について考えてみたいと思います。
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特に対面営業と経営実務に関することを追求することが好きです。
とあるオーナーの事例
とある元建設会社オーナーの70代男性は、この方法で対策を進めていたといいます。
年間110万円の贈与税の非課税枠を使って少しずつ資産を圧縮していくと、それが積み重なることで相続税の節税につながります。
実際には、「親が子供名義の通帳を管理して、そこに毎年同じ時期に一定額を振り込んでいたところ、亡くなった後の税務調査で指摘を受けて結局、相続税を払うことになった」といったトラブルもあり、やり方に注意が必要ですが、専門家の助けを借りれば、着実に進められる対策でした。
ところが、この方法が近い将来に使えなくなると見られています。
贈与したお金にも相続税がかかる?
相続税はいまや、「お金持ちだけにかかる税金」ではありません。
相続・贈与に関することは2015年から相続税の基礎控除が大幅に引き下げられたことで、かなり“身近な問題”となりました。
妻1人、子供2人が法定相続人の場合であれば、相続財産が8000万円(5000万円+1000万円×法定相続人3人)までなら相続税がゼロで済んでいたのが、2015年以降は4800万円(3000万円+600万円×同3人)よりも相続財産が多ければ相続税がかかることになったのです。これにより、相続税の課税対象となる人は倍増しました。

「工夫して早めに贈与しておけば得」といった対策が成り立たない制度
『相続時精算課税制度』というものを政府は導入しようとしています。
これは条件付きですが、2500万円までは贈与時には税金がかからないとしていますが、贈与した人が亡くなって相続が発生した際に、贈与していた分を相続財産に含めて相続税を計算する方法なのですが、仮に「相続時精算課税制度」が適用されると、毎年110万円を10年間、贈与しても、その1100万円は父親が亡くなった時に相続財産の扱いとなり、結局、相続税の額は変わらないことになようです。コツコツ贈与しても、相続税対策として成立しないということです。
制度開始前の駆け込み贈与は危険!?
じゃ、制度が始まる前に駆け込んじゃおう!というのが人間の性ですが、これには注意が必要です。
どういう制度に変わるかは、複数の可能性があります。
まず、現在は被相続人が亡くなって相続が発生すると、その3年以内の贈与は相続財産として扱われますが、この期間を長くすることが考えらます。
ドイツでは10年、フランスでは15年遡って贈与分を相続財産としていますから、それに倣うという考え方です。
一方、贈与税の基礎控除を現行の110万円から、2001年までの水準である60万円に縮小する可能性もあります。
どういうルール変更になるかに加え、それぞれの資産額、内容によっても対応は変わります。
一括贈与にしても同様で、慌ててたくさん贈与してしまうと、後になって手元の財産が足りなくなるリスクもありますので、注意が必要です。
制度の見極めが必要ですね。

相続に関しても税理士に相談してみよう
制度変更の方向性として、贈与時は非課税だが、相続時にまとめて課税される「相続時精算課税制度」に一本化される可能性が今回わかってきました。
しかしこの場合、工夫すれば生前贈与が節税につながる余地はありそうです。
土地や株式など、将来、値上がりが期待できる財産を持っている人であれば、そういう財産を選んで、生前贈与する方法があります。
たとえば今年、2000万円で贈与した土地の価格が10年後に4000万円になっていたとしても、相続税を計算する際には贈与時の2000万円の価値で計算されて節税になるということです。
どのようなルール変更になるかがはっきりすれば、それに合わせた対策が見えてくるわけです。
現行制度のもとでも、亡くなった時の相続税がどれくらいになりそうか把握せずに闇雲に対策をせず、どのくらい生前贈与をすると得か?ということを見極めた方が良いでしょう。
そしてその相談は自分だけで考えずに税理士さんに相談するのが一番良いと思います。
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