「利益より永続を求めよ」
(株)井筒八つ橋本舗 代表取締役会長・津田純一
はじめに
「なんの下積みも無く、安易にその方法や成功法を聞くんじゃ無い!」
突然の叱責に驚かれましたか?
こんにちは。影谷です。
この言葉は私が商談中の雑談時に当時社長だった(株)井筒八つ橋本舗 代表取締役会長・津田純一氏からいただいた訓示です。
この時は本当に驚きました。そして帰りの車中で自分への悔しさから手帳に事細かくその時の注意を自分への戒めとしてメモしたことも覚えています。
(株)井筒八つ橋本舗 代表取締役会長・津田純一氏は本当に私の会社・芸能に深く理解を示していただき、とてもご支援いただきました。
井筒八つ橋は「夕子」で有名な老舗の八つ橋銘菓の会社です。
いつも親身になって私の話を聞いてくれ、時間が取れればいつでも快くお会いしてくださいました。
この時の私もこちらの相談事が一通り説明し終え、安心していたのでしょう。また本来であればそうは簡単に会えない社長さんにも関わらず、良くして頂く事への慢心があったのだと思います。
津田社長と雑談中に安易に、「うちも会社のPRが下手なので、社長のところの商品のプロモーション戦略を教えてくれませんか」と聞いたことが発端でした。
いつも仏のような笑顔で温厚な津田社長が、この時はざっと顔色が変わり、「努力や下積み、経験を得る前に、安易に成功した方法を教えて欲しいと聞くんじゃ無い!。うちだって戦略のために血の滲むような商品開発、プロモーションのためのコネクションづくり、経費削減のためのCMへの価格交渉などをやっているんだ。普通であればおいそれとそれを教えるわけは無いんだよ。君も事務所を任されている一経営者なら、発言にも責任をもたんとダメだぞ!」
この注意には本当に自分の安易な発言から大変失礼なことを言ってしまったと後悔しました。
津田社長からはいつも温かくも厳しいビジネス思考力を授かっていたと思います。

✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経営実務に関することを追求することが好きです。
(株)井筒八つ橋本舗
文化2年(1805年)から続く菓子老舗。八つ橋の名前の由縁は八橋検校を偲んでお琴の形から菓子の原型が生まれた。
おそらく、「夕子・八つ橋」は知らない方はいらっしゃらないでしょう。
新幹線のお土産売り場に必ず置いています。
私は八つ橋は「井筒八つ橋・夕子」しか買いません。なぜなら社長から生のダイレクトでその商品への信念を聞いているからです。
他の八つ橋会社ももちろん信念があるのでしょうが、残念ながら直接お伺いしたことが無いので、やはり夕子びいきです。

会社を長続きさせる秘訣
私の会社(グループ本社)は創業70年を超える老舗であります。しかし京都では70年なんて生まれたての赤子同様の扱いを受けます。
そりゃ100年、200年、と続く京都の歴史とともに歩んだ大老舗はあちらこちらであります。そんなところからすれば100年未満なんて、「商いの駆け出し丁稚もん」ということでしょう。
京都の人から「100年は続かんとお店といいまへんえ」と言われたことがあります。半分冗談でしょうが、半分本気でした。新しいことをしたいなら、京都では辛抱強く続けなさいと言うことだったのでしょう。
井筒八つ橋も200年から続く大老舗。そんな社長へ「会社を長続きさせる秘訣」を聞いたことがありました。
結論「会社を長続きさせる秘訣」などはない。
まあ、無いと言っても強いていえば、「志と理念の継承だね。」
会社の寿命は20〜30年というところが多いでしょう。
あるデータでは1年間に起業する(登録する)会社が約9万社と言われています。それとは逆に廃業する会社が6万社と言われていますので、約30%程度しか2年以降存続していない(あくまで数字的仮説)確率ということになります。
井筒の心、家訓は「利益より永続」。企業は人で成り立っている。「経営者は王様で従業員は家来」という風潮が日本にはいまだにある。古い老舗会社ほどその傾向にある。しかし今は「経営者は家主、従業員は子ども」というスタイルでないとやっていけないでしょう。
①人が第一、②人(従業員)を信じること、③(自分)ウソをつかないこと。④利益を目的にしてはいけない
この4つを大切にして欲しいと井筒社長は教えてくれました。
『社長と社員が響働する』経営へ」
世の中からなくてはならない会社として認められ、受け入れられるためには、一時的な利益追求ではなく、永続的な信頼関係が大切であり、社長、社員、お客様が共に歩む経営が必要。会社が響動経営を実現すれば、自ずと利益を優先する会社では無く、永続する企業へと生まれ変わると言うことを津田社長は教えてくれました。
経営を志す者として私も大いに学ばさせて頂きました。
私に安易な質問をするな!と注意してくれたのは、「経営者として継続的な信頼関係を築いて人との繋がりを大切にしたいなら、会社が永続的に存在できる方法を自分でも考えてみなさい」という教えだったと思います。
これ以降は発言ひとつひとつにも「経営」という文字を頭にちらつかせながら仕事をしたものです。
ちなみに余談ではありますが、津田社長は東山納税協会の会長も歴任されています。
税務への重要性を津田社長も示されています。私も経営実務に税務方法の大切さを改めて認識させて頂きました。
『黄金の智恵袋』
本日もご覧頂き、誠にありがとうございました。
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