■目次
話せばわかるなんてバカが言うこと
養老孟司 氏
はじめに
こんにちは。影谷(かげたに)です。
本日は累計発行部数400万部を超える空前の大ヒットを飛ばし、2003年の新語・流行語大賞も受賞したベストセラー『バカの壁』で有名な養老孟司さんからのビジネス思考力をお伝えしたいと思います。
最近はNHKで愛猫「まる」との日々を紹介した番組が人気ですね。
養老先生は現在御年82歳。
私がお仕事でご一緒したときは70代前半でしたので、まだまだ現役という印象でした。
東京大学名誉教授で医学博士でもある養老先生は脳の医学的視点からビジネス思考力を説かれ、社会を支えるビジネスパーソンに大きな影響を与えています。
この私も先生と接触させて頂いた時はそのビジネス思考力を盗もうと目を光らせていました(笑)。
✔記事の信頼性

この記事を書いている私は、過去に赤字経営だった事務所経営を黒字化し、年商2億円を売り上げていました。
現在も事業イベントプロデュースのビジネスに携わる傍ら、日本中の知識人から学んだ経営術を伝える当ブログを運営しています。
特に対面営業と経理実務に関することを追求することが好きです。
養老孟司
1937(昭和12)年、鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。心の問題や社会現象を、脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し、多くの読者を得た。1989(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位、また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。
あなたは家庭・職場でコミュニケーションを上手くとれないと悩んだことはありませんか?
「どうして自分の言うことをわかってくれないんだ!」とイライラしたことはよくありますよね。
養老先生は「人間の持つ思考の限界は絶対にある」として、その限界=壁というのが「バカの壁」なのだということをお話ししてくれました。
人と人との話が通じないことがあるのは当たり前。「話せばわかる」なんて真っ赤な嘘で、そんなことを言うのはバカの言うことだということをよく言われていました。
実際私とお話しさせて頂いた時もそのようなことをお話しくださり、事務所で新に採用した大学新卒の社会人1年目への扱い方やコミュニケーションに苦しんでいた私に多大なる勇気を与えて下さったことは今でも感謝しています。
「個性」と「共通了解」を求める社会が複雑な若者を生む
当時の私の悩みは、「新卒の新人が受け身の姿勢で人から仕事を学ぼうという意欲を感じない」ということでした。
業務をお願いすれば必要最低限の努力はしてくれますが、それ以上踏み込むことが無かったのです。
「私(影谷)の時は上司や先輩から仕事の姿勢を盗もうと躍起になっていたのになぁ・・・。」と比較してしまうのですが、その点を注意しても新人たちからは連れてこられたアルカパばりの「きょとん」とした顔で凝視してきます。
これは養老先生から言わせれば、現在の世の中は膨大な共通の情報を与えられ、それを了解することで、共通認識が高まり社会が発展していく一方、個性や独創性を重視するという傾向が強まってきた「矛盾の思考力」が生み出した結果からだと仰られていました。
たとえば、職場などでは「整理整頓を心がけろ」「同行営業での上司の発言はメモせよ」「新入社員は率先して電話を取れ」など、特定のルールに従うことを強要するのに、「オリジナリティを発揮しろ」「新しい風を起こせ」とも求めます。
社内コミュニティの規定に従わないといけない一方で、個性もアピールしないといけない……。
そんなジレンマに陥った結果、無意識的に生まれたのが受動的人間の若者。
膨大な情報の中で何を選び、何を持って個性として動くのか。その結果に相手が思うような結果ではなかったら・・・。
結局、結果を恐れるあまり、言われることをこなす人間になってしまっているのではないかと。
そもそも「私らしさ」などの個性はどこにも存在しない
近年「自分らしく生きる」ことをテーマにしたドラマやドキュメントが好まれる傾向にあります。
しかしそれは「自分らしく生きることが出来ていない」と感じている人が多いことの裏返しでもあるのだと、養老先生仰っていました。
でも養老先生は言います。
そもそも「私らしさ」などの個性は存在しない。特定の「個性」など無いと断じて言える。
ここからは養老先生からの投げかけられた問い。
あなたは「一生、自分という存在が変わることがない」と思っていますか?
でもよく考えてみて下さい。
起業しよう、独立したい、出世したい、人生で豊かな時間をつくりたい、仕事を忘れてのんびり暮らしたい、旅に出たい・・・・
それは自分という個性が変わらずに起こっている現象でしょうか。
それは人生の岐路に立ったとき、自分の考えを決めて決断して動く。これって「変化」だと思いませんか。
そう、人は自分が変わらずに存在すると考えがちですが、万物流転、諸行無常の言葉通り、人間は常に変化していくものです。
ある日を境に、自分自身が根底から覆されることは、往々にしてあるのです。
これは言い換えれば絶対的で普遍的な「個性」なんてそもそも無いということなのです。
個性を信じるから他人と理解には限界がある
この世に「絶対的な真実」など存在しません。
しかし、都市化や近代化を通じて、かつてのような拠り所となる基盤を失ってきた現代人は、唯一無二の考え方「個性」を信じようとします。
例えばそれは「神」や「仏」という存在。
自分という個性と「絶対的な存在」を思考するあまり、自ずと壁ができる。
それぞれの壁がぶつかり合えばどうなるのでしょうか。
これはつまり、他の考えを受け入れないということつながるとおもいます。
個性と個性がぶつかる場所がバカの壁
働き方も、人生におけるロールモデルも多様化している今こそ、「バカの壁」は世の中に溢れています。
壁に妨げられないよう、強く意識する必要があるのではないでしょうか。ありもしない「個性」を伸ばそうと躍起になる社会は「バカの壁」によって生み出されるのです。
「バカの壁」とは、人間ひとりひとりが何かを理解しようとする時にぶつかる限界を指します。
私もよく後輩や部下に「話せばわかる」と信じて、仕事終わりに飲みに連れ出し、情熱的な会話をよくしていました。
うまくいくときもあれば、全く響かないこともよくありました。
これはまさに「バカの壁」同士のぶつかり合いだったのだろうと今では思います。
あなたもコミュニケーションを取り続けても上手くいかない場合、この「バカの壁」を誰しも持っているということを念頭に置くと、もっと楽になれるかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか。
新しく雇った若者とコミュニケーションが取れない、扱い方がわからないと嘆くようなことがあれば、「そもそも理解しようなんてこと自体が無理」と一つ、新しい思考で切り替えてみるのも良いと思います。
「黄金の智恵袋」
本日もご覧いただき、誠にありがとうございました。
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